漢方治療エビデンスレポート
日本東洋医学会EBM委員会エビデンスレポート/診療ガイドライン タスクフォース
18.
症状および徴候
文献
小 田 口 浩, 花 輪 壽 彦. 頭 痛 治 療 に お け る 相 補 代 替 医 療. 医 学 の あ ゆ み 2005; 215:
1137-40. MOL, MOL-Lib
Odaguchi H, Wakasugi A, Ito H, et al. The efficacy of goshuyuto, a typical Kampo (Japanese herbal medicine) formula, in preventing episodes of headache. Current Medical
Research and Opinion 2006; 22: 1587-97. CENTRAL ID: CN-00571314, Pubmed ID:
16870083 1. 目的
慢性頭痛に対する呉茱萸湯の有効性と副作用
2. 研究デザイン
二重盲検ランダム化比較試験 (DB-RCT)
3. セッティング
大学関連施設の頭痛外来3施設
4. 参加者
慢性頭痛患者で呉茱萸湯を4週間内服し、頭痛の重症度や頻度が改善した患者53名
5. 介入
Arm 1: ツムラ呉茱萸湯顆粒エキス7.5g/日を12週間内服。28名
Arm 2: プラセボ群は、呉茱萸湯と外見、味、香りを似せた顆粒 (服用量は同じ) を12
週間内服。25名
6. 主なアウトカム評価項目
頭痛重症度、頭痛頻度、冷え症状、生理痛、肩凝りの程度をすべての参加者に実施し、 手足指の体表温度、皮膚血流、深部体温、脳と大腿部の酸素飽和度、僧帽筋の硬度、
血中セロトニン濃度を一部の参加者で評価
7. 主な結果
12週間経過後、Arm 1の頭痛発症日数は、開始時に比べ- 2.6日と有意に減少し、Arm 2
の頭痛発症日数は、開始時に比べ- 0.3日と変化を認めず、両群間でもArm 1で有意な
改善を認めた。また、鎮痛薬の内服回数は、Arm 1で開始時に比べ- 2.2回と有意に減 少し、Arm 2で- 1.4回と変化を認めなかった。しかし、両群間では差を認めなかった。 この傾向は偏頭痛患者だけに限った参加者においても同様の結果であった。その他の 評価項目に関しては、Arm 1とArm 2で有意な変化を認めなかった。
8. 結論
呉茱萸湯は、慢性頭痛患者の頭痛発症頻度を改善し、鎮痛薬の内服回数を減少させる。
9. 漢方的考察
第一段階で呉茱萸湯が有効であった参加者のみを抽出し「呉茱萸湯証」と診断してい
る。第二段階でそれらの参加者を二重盲検ランダム化比較試験で検討していることか ら、証を念頭に置いた評価である。
10. 論文中の安全性評価
呉茱萸湯投与群で 1名 ALT、AST、γ-GTPの上昇を認めたが、内服中止3ヶ月後でも 改善を認めず脂肪肝による可能性も考えられた。他の症例ではいずれも副作用を認め なかった。
11. Abstractorのコメント
第一段階で91名の慢性頭痛患者に呉茱萸湯を投与し、53名のレスポンダーのみを対照
に二重盲検ランダム化比較試験を実施した臨床研究である。「証」を考慮した点で画期
的な臨床研究であると言える。頭痛以外に生理痛や肩凝りに関しても呉茱萸湯投与群
で改善傾向がみられており、「呉茱萸湯証」を明確にする上でより多数例での評価が望
まれる。今後も本研究のような東洋医学的な臨床研究が実施されることが望まれる。
12. Abstractor and date
後藤博三 2008.4.1, 2010.6.1, 2013.12.31